歯科知識

外したかぶせはどうなるの?

外した金冠などについて

2022年5月現在、ロシアのウクライナ侵略戦争の経済制裁のため、ロシアから輸入されるパラジウムやニッケルが入手できなくなりました。

そのため、保険治療で使う12%金パラジウム銀合金の価格が、3千円超/gとなっています。

この20年で11倍になりました。

購入価格が3000円/gであっても、除去冠としてスクラップ リサイクル業者で引き取ってもらう金額は、手数料諸々を引かれて 1/3の1000円にしかなりません。

中抜きの多い業者だと1/4以下になります。

以下、内容が古くなったのですがご参考までに。

何等かの事由により外した被せの金属などについては、患者さんの物であるという判断があります。

治療のために古い金属などの被せを外す際に、外した金属を患者さんにお渡しする歯科医院は少ないかもしれません。

勿論患者さんにとって、特に自費(自由)診療などで高額の金額を支払われた被せについては、その被せ自体に大きな価値をお感じになることと存じますが、使用している金属は単独の歯の場合は多くとも数グラムであり、治療費の大部分は金属代ではなく技術料と考えていただいた方が宜しいかと存じます。

また口腔内で被せが機能を果たしている状態と異なり、切断するなど破壊して外した場合には、金属片としての価値しか有さないことになります。

被せの金属成分、例えば金・プラチナであってもそうですが、24金あるいは純プラチナでは、歯科治療上必要とされる性質を発揮することができないため、各種の他の金属を混ぜて合金として使用いたします。

このため通常外した金属は、歯科医院内で再利用することは少なく、専門の回収業者に買い取って頂き成分分析後の精錬が必要となります。

例え同じ歯科医院で複数本の歯の治療をお受けになったとしても、その時期が異なると使用した金属を製造したメーカーが異なる場合もあり、やはりメーカーそれぞれで成分が若干異なります。

さらに技術上の問題ですが、金属の被せを作る場合には、その被せの金属の倍以上の量の金属を溶かして作成する必要があり、外した金属のみでは金属量が足らないため、新たな金属を足す必要が生じます。

しかしながら成分の判っている新しい金属と成分不明の古い金属を混ぜ合わせることは、技工操作上あるいは口腔内で長期間機能を果たさせる上でもいろいろな問題を生じる可能性があります。

以上のことから、他院に古い被せ等の金属をお持ちになっても再利用が難しい場合もありますことをご承知おきいただきたいと存じます。

勿論医院によっては、快くお受けいただける医院もあるかと存じますので、先ずは電話などでご相談になってみては如何でしょうか?

なお被せの金属などが、接着剤などの劣化により綺麗にスポッと取れた場合などで、その歯の内部の土台などに問題がなく、またきちんと元の位置に戻り、咬み合わせにも問題が無いなどの場合には、再度接着し直すことが可能です。

しかしながら新たな虫歯がある、あるいは歯の内部の消毒をやり直す必要があるなど、土台からやり直すことになる場合には、その外れた古い被せは、ほとんどの場合使えなくなります。

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