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インプラント・人工歯根について

インプラント(人工歯根)について

今現在使われているインプラント(人工歯根)には、顎の骨の中に人工の歯根を埋めて、その上に歯をのせるタイプ(骨内インプラント)と、歯肉(歯ぐき)と顎の骨のあいだに金属のフレームを埋めるタイプ(骨膜下インプラント・粘膜下インプラント)と、骨内と骨膜下・粘膜下の両方を組み合わせたタイプと、さらにご自分自身の本物の歯の内部から顎の骨へと貫く歯内骨内インプラントがあります。
インプラントの形状は、棒状、筒状、板状、スクリュー状、ピン状などの種々な形態および種々なサイズがあり、材質も最近主流となっているチタンを使ったもの、セラミックスを用いたもの、チタン表面にハイドロキシアパタイトをコーティングしたもの、形状記憶合金を使用したものなど、様々な種類のインプラントが日常の臨床で使われております。

インプラントの手術にあたっては、埋め込むインプラントが1本であっても、1回の手術のタイプと2回(2回目は簡単な手術)の手術に分けて行うタイプがあり、また何本も多数のインプラントを埋め込む場合には、埋め込む手術自体を何回かに分ける場合もあります。

さらに施術後直ちにインプラントの上に歯を被せるタイプもありますし、手術の後半年ぐらい埋めたままで経過を診るタイプもあります。

現在インプラントの主流は、顎の骨とインプラントとが直接的に結合するタイプですが、タイプによっては骨と直接的に結合しないものもあり、この場合には埋め込んだインプラントのみでは上に被せる人工の歯をささえることができず、前後あるいは左右のご自分自身の歯を削って連結する場合もあります。

費用については、そのインプラントのタイプや埋め込む本数、上にかぶせる歯を白くするか金属にするか、特殊な義歯(入れ歯)にするか、などによって大きく左右されます。

インプラントの治療は原則として保険が適用されませんので、全てが自費治療になりますが、被せる歯を含めて最低でも10万円前後から、本数によっては数百万円になる場合もあります。

手術中の痛みについては、麻酔が効いている限りは顎の骨を削る振動が響く程度です。

麻酔が切れた後は、外科的な手術のため、患者さん個人個人の感覚にその程度は左右されるものの、やはり痛みが生じますが、頓服(鎮痛剤)で抑えることができる程度のことが多いようです。

また手術自体に問題がない場合で、術後の感染などが起こらない限り、またよほど広範囲に一度に多数のインプラントを埋め込まない限りは、ひどい腫れは起こらないようです。

インプラントの手術は人工物を顎の骨の中に埋め込むことになりますので、そのためには顎の骨の深さ、厚み、固さなどの質も重要であり、また顎の骨を支配している神経や血管、骨の中の空洞などを避けて手術することになります。

無理矢理手術を行うと、唇や頬などの知覚異常を起こしたり、術後に感染を起こしたり、最悪の場合は顎骨が広範囲に吸収してしまう場合もあります。

インプラントの手術は、全ての手術が100%成功するとは限りません。

インプラント周辺に対する清掃は、自分自身の歯に対する以上に厳密に行う必要があり、口腔清掃はインプラントの経過を左右する大きな要因となります。

インプラントの耐久性については、理論的には日常生活に十分耐えうるものですが、金属タイプのものは金属疲労を起こしたり、セラミックスのものについても破折したりすることがあります。

上記以外にもインプラントの手術においては、通常外科手術の際に起こりうる偶発症などが起こる可能性が有ります。

かかりつけ歯科医院で、インプラントのメリットとデメリットについて良く相談されることをお勧めいたします。

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